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2011/02/23

巨男の話


先日6年生のクラスに読み聞かせに行きました。



6年生にとっては最後の読み聞かせでしたので何の本を読もうかちょっと悩みました。



そして私に選ばれた本は「巨男(おおおとこ)の話」
















by 新美南吉

心優しい巨男が、白鳥と都へ向かいます。

この白鳥、本当は都のお姫様なのです。

巨男の母親である魔女の魔法で白鳥にされてしまったのです。

この魔法をとくには、白鳥が涙を流さないといけません。

巨男は、都への道中、なんとか白鳥に涙を流させようと思って、たたいたりつねったりしますが、白鳥は悲しそうな顔をするだけで決して泣きません。

そしてじっと巨男のそばを離れません。

巨男は白鳥がかわいそうでたまりません。

都に着いた巨男は困り果ててしまいます。


ネタバレ

とうとう巨男は白鳥に、自分にこんなになついている白鳥なら、自分が死んでしまったら泣くに違いないと決心し、塔から落ちて死んでしまいます。


白鳥は泣きに泣きます。

そしてお姫様の姿にもどった彼女は言います。

「私はいつまでも白鳥でいて、巨男の背中にとまっていたかった。」

もう、滂沱の涙です。

担任の先生が、「tiotioさん!その本貸して下さい!」


と追いかけてきました。


お貸ししました。


ポチャオ君の本読みカードの余白に、びっしりと感想を書いてらっしゃいました。


先生、とっても心に残ったらしく、

ポチャオ君の話によると、

図工の時間に彫刻刀でみんな作業してたら

「そうか〜白鳥は巨男が好きやったがやね〜」

などと子どもたちの作業を見回りながら、しみじみとひとりごちていたそうです。


先輩の感想は、他に方法が無かったんだろうかと、かわいそうで仕方がないそうです。


新美南吉すばらしい。





2010/04/16

泣いた赤鬼

大好きな絵本の一つです。




ストーリー(注意:ほぼ全部のせてます)



心の優しい赤鬼さんは山の中で一人でくらしていました。

彼は人間を困らせるどころか、人間となかよくなりたいと常々思っています。

でも、人間は彼をみると逃げて行ってしまいます。

落ち込んでいる彼のところに親友の青鬼君がやってきます。

落ち込んでいる理由を聞いて青鬼君はある作戦をおもいつきます。

青鬼君が村へ行ってひと暴れしているところへ赤鬼さんがやってきて青鬼君をやっつける。

という作戦です。

赤鬼さんは躊躇しますが、青鬼君の熱心な誘いでその作戦を実行することになりました。

結果は大成功。

青鬼君の言ったとおり、村人たちはすっかり赤鬼さんに心を開いて

毎日赤鬼さんの住まいへ遊びに来てくれるようになりました。

もう赤鬼さんはちっともさみしくありません。

そんなある日、赤鬼さんはあれ以来青鬼君が遊びに来ないので

久しぶりに青鬼君のところに出かけて行きました。

青鬼君は旅に出ていて留守でした。

青鬼君の家の戸には赤鬼さんに宛てた手紙が貼られていました。

その手紙には青鬼君が旅に出た理由と赤鬼さんへの深い優しさがつづられていました。

赤鬼さんはその手紙を二度も三度も読み、しくしくと涙を流して泣きました。

・・・・・

私も読んでいて、いつも青鬼君の手紙のところでうるっときます。



意外と大人でも知らない人が多いです。

本屋さんや図書室に行っても、置いてない時もあります。



読み聞かせで読むときはリミットの10分を超えてしまうので、ところどころ端折って読みます。



最後の青鬼君の手紙まで子ども達の集中力がつづくかどきどきします。

長いのに、子ども達も最後まで熱心にきいてくれると、ほっとします。

私同様に先生も最後にはじーんとしてるようです。





キャロル・キングの「きみの友達(You've got a friend)」を思い出します。



















2008/11/20

モチモチの木


今朝の読み聞かせで読みました。


「モチモチの木」






















この絵からもじさまのやさしさがにじみでています。



2年生のクラスで読みました。



小学校のとき教科書に載っていたので、私には馴染みのあるお話です。

光村図書の教科書には多分今も3年生の下の教科書に掲載されていると思います。



前に「じごくのそうべえ」をとりあげたとき

「モチモチの木」についてのコメントをいただきまして、まさに今日「霜月二十日」に読みました!



うちの子どもの小学校の教科書には載っていません。

とはいえ、有名な本なので知ってる子も沢山いました。



お話は、じさまと暮らす豆太の勇気と感動の物語です。



臆病者の豆太は夜にもよおしたときは、じさまを起こします。

一人でおもてのセッチン(便所)へ行けないからです。

理由は、おもてにあるモチモチの木が夜になるとこわいから。

(本当はトチの木らしいが豆太はそうよんでいる)



今日はそのモチモチの木にひがつく日です。

年に一度、霜月二十日の「うしみつどき」だけひがつくそうなのです。

モチモチの木についたひをみられるのは、勇気のあるひとりの子どもだけです。

じさまも、死んだおとぅも見たそうです。

豆太も見たいけれど、「うしみつどき」にモチモチの木を一人でみるなんて自分にはムリとあきらめています。



夜中。

じさまが苦しそうにうなっているのをみて、豆太は寒く真っ暗な中、勇気をふり絞ってお医者さまを呼びにいきます。

そして豆太の勇気を祝福するかのようにモチモチの木にひがつきます。



挿絵とおはなしがとってもマッチしていて

ベリーグーです。



豆太が目をつむってお医者さまのところへかけて行くところは、

自分が豆太になったような臨場感があります。



読んでる私も、声に力が入ります。



子ども達もしィィィィん。



さいごのページで、元気になったじさまが豆太に言った言葉が優しくて優しくて。

胸がいっぱいになってしまいます。



名作ですね。







2008/11/05

おしいれのぼうけん




多分、幼稚園の頃に、お隣のお姉ちゃんが読んでくれたのが、「おしいれのぼうけん」との出会いだったと思います。



このお話に出て来る「ねずみばあさん」がキョーレツに怖かった。



しばらく、夜も眠れなかったという思い出がうっすら残ってます。



とにかく、子どもにとってはもんのすごく怖いお話です。



自分の子どもにも彼らが保育園のときに読んできかせました。



ふふふ。やっぱり超怖がってました。



初版は1974年。そうか。私が読んでもらったときはまだわりと新しい本だったのね。



お話は、さとしとあきらが保育園でお昼寝の時間にいつまでも騒いでいたので、反省するために、先生に押し入れに入れられます。

その押し入れの中で繰り広げられる、ふたりの冒険話です。

押し入れの中は真っ暗で、壁のシミや木目が不気味です。

そこに「ねずみばあさん」が何千匹ものネズミを従えて二人を食べにやってきます。

二人はお互いに励まし合ったりしながら、なんとか逃げますが、

どこに逃げてもねずみばあさんとネズミ達はやってきます。

さて、二人の運命やいかに。



小学校の読み聞かせにどうかなと家で時間を計って読んでみたら、

残念ながら、15分以上かかりました。10分程度の本でないといけないので、悩んでたら、



ひとみちゃん「その本は面白いから、ところどころ端折ってでも是非読んであげてほしい」



との意見。



ひとみちゃんもポチャオ君も7年前はこの本を恐れていたのに、今は大好きなのね。



うーん。若干編集して読もうかな。





2008/07/25

だいふくもち

まえに、「じごくのそうべえ」について書いたとき、

いただいたコメントにありました、「だいふくもち」。



1学期最後の読み聞かせで読みましたので、

忘れないうちにご報告しておきます。










田島征三さん作です。



ある日、貧乏で怠け者のごさくの家の床下から声が聞こえます。

なんと声の主は300年も何も食ってないという大福餅でした。

腹が減ったということで、言われるがままに隣家から分けてもらったあずきをやると

その大福餅は小さな大福餅をぽこんぽこんと出すのです。

その小さな大福餅があんまりおいしいので、

怠け者のごさくにしては頑張って、店を出します。

大福餅は売れに売れ、ごさくもちょっといい生活ができるようになりました。

そこで、もっと儲けてやろうと思ったごさくは、

あずきを無理矢理大福餅に食べさせようとします。



ごさくに無理矢理あずきを食わせられた大福餅と

欲を出したごさくの運命は、その挿絵とともに

空恐ろしさを残します。



さいごのページには文字はありませんが、

ごさくも大福餅もいなくなった、その後の家が描かれています。

その絵は文字以上に伝わってくるものがあります。



文章に沢山の土佐弁が使われていて、

普段なら

「私も土佐弁初段ぐらいいってるかな」

なんて足を組んで自慢げに髪をかきあげる私も、

「うーん、まだまだ3級くらいかな」

と正座に座りなおさざるをえない状況でした。



子ども達の反応は、

最初は土佐弁が出て来たりして、笑顔でたのしそうに聴いてました。

でもラストのあたりでは「しーーーーん」

かなりまじめに聞き入ってました。

かなり興味深かったようです。



この、「だいふくもち」は、私も知らなかった本でしたし、

子ども達もほぼ全員が初めてでした。

高知で広めていきたいと思います。



ありがとうございました!



2008/06/06

じごくのそうべえ


子どもにおおウケまちがいなしの一冊ですね。




















軽わざ師のそうべえが綱から落ちてあの世へ行くんですが、

仲間達と楽しく懲りずに地獄の数々の拷問をくぐりぬけ、

しまいにはえんま大王もギャフンの展開です。



ただただ面白いです。

だって、元ネタが上方落語だから。



全編関西弁です。声に出してまくしたてるように読んでいると、

こっちもノリノリになってきます。



特に人を呑み込む鬼をやっつけるくだりはサイコーです。



読み聞かせのとき、教室は爆笑の渦です。



こっちもノリノリ、そっもノリノリ

会場はもう、熱気ムンムンですよ。



この間は、担任の先生に帰り際にきかれちゃいましたよ。

「おかあさん、なんでそんなに関西弁がうまいんですか???」

「和歌山出身ですから!!」(内心力こぶ)



この『じごくのそうべえ』は人気のある絵本なので、

読み聞かせで読まれる機会も多いようです。

それを承知の上で、

読んだクラスがわが子のクラスだったりすると、夜に

「ね、お母さんの『じごくのそうべえ』どうやった?」

「おもしろかったで。」

「うけてたでなー」

「うん、みんな笑ってたで」

「今まできいた『じごくのそうべえ』の中で一番じょうずに読んでたと思えへん?」

(鼻ふくらみ気味)

「あー、うん、そうかもね」

(よっしゃあ!!○○くんのお父さんに勝ったうぉぉぉ〜!)



と、私の「十八番」の本なのです。



この、はちゃめちゃなストーリーを盛り上げるそのイラストがまた

いきいきとしていて、躍動感が合って、大胆かつ細かい描写でいいんですよ。

その絵を描いた人は田島征彦さんです。

高知県ゆかりの方なので、読んだ後は必ずそれも言います。



すると、子ども達も感激倍増!を狙っている。



高知 四六四九ぅ!


田島征彦さんは同じく絵本作家の田島征三さんと双子の兄弟です。

お二人は、子ども時代をお父さんの実家のある高知県で過ごされたそうです。

このことは、田島征三さんが子ども時代のことを書いたエッセイ

「絵の中のぼくの村」が映画化されて、ベルリン映画祭で銀熊賞をとったので、

映画好きの方はご存知かもしれません。

高知県で撮影されたにもかかわらず、高知の人でも知らない方が多いです。



2008/05/24

ももの里


今日、自分のブログのカテゴリーに

「えほん」なーんて作ってるくせに、

一回しか「えほん」について書いてないことに気付きました。



もうちょっと充実させていこうと考えています。



早速ですが、2年ほどまえ巡り会った、「ももの里」という本を紹介します。





















タケという少年が住んでいる里に鬼が襲ってくるのですが、

タケは弟のように可愛がる男の子を何とか救うため知恵と勇気で立ち向かいます。



これは、切り絵が美しい絵本ですが、お話の最後に、

あっと驚く展開が待っています。というのも、もう、もう、



それはですね、



ああぁぁ〜・・・書きたい。ああぁぁ〜ここまで でてるぅぅぅ。



でも、それを書いてしまったら、ネタバレなんてもんじゃなくなってしまうので

ぐっとがまんします。(それとも知りたい?)



小学校の読み聴かせでこの本を読んだときの子ども達のあの感動の目はたまりません。

一緒に聴いてた担任の先生まで、めっちゃ嬉しそうでしたよ。



みんな一斉に長年の謎が解けたような顔をしますよ。





2008/02/19

でんでんむしのかなしみ


 浮気を繰り返しながら読んでいる、友達から借りた高橋克彦の「火怨」も佳境に入ってきたけれど、

ここでまたまた浮気してます。

こんなときの浮気の相手は大抵ミステリーとか別の友人に勧められてハマってしまった村上春樹なのですが、

今回の浮気相手は新美南吉です。


新美南吉・・・「手袋を買いに」「ごんギツネ」は懐かしい方も多いと思います。今も子どもが本読みの宿題で読んでます。

月2回小学校で読み聞かせのボランティアをしているので、

今度は何を読もうかなと近所の図書室へ物色しにいきました。


そこで今回選んだのは、新美南吉の「でんでんむしのかなしみ」です。






















10ページにも満たないお話ですが、感動です。


あるいっぴきのでんでんむしが、たいへんなことにきがつくのです。

「わたしの せなかの からの なかには かなしみが いっぱい つまって いるでは ないか」


えほんの絵がまたすばらしいので、えほんを見てほしいのですが、

ネットに本文全文あります。

あとがきによりますと、このお話は皇后美智子さまが1998年インドでの国際児童図書評議会世界大会での基調講演(ビデオ)で、幼い頃に読んでもらったこのお話について、思いがけないときに、何度も記憶によみがえってきたと語られたそうです。


シルヴァスタインの「おおきな木」以来の出会いを感じましたよ。
























この「でんでんむしのかなしみ」には、多分、大人の人たちが若い人たちに伝えたい大切なことが簡潔に二つ盛り込まれているように感じます。それは私にとっては自分自身をも励ましてくれる強烈なメッセージでした。



おすすめです。


ちなみにこの日、新美南吉をほかに3冊借りました。どれもじぃぃ〜ん。です。

あ、今晩から「火怨」に戻ります。