2011/02/17

カティンの森


会員になっているショップがなんとレンタル1本50円という、映画人がきいたら相当へこんでしまうような破格のキャンペーンをしていまして、借りて観ました。



カティンの森事件を描いた作品です。


「カティンの森」
















第二次世界大戦中、ポーランドは西からはドイツに攻められ、東からはソ連に攻められ、すっかり占領されてしまいます。


ポーランド人将校のアンジェイはソ連軍の収容所へ送られます。妻と幼い一人娘を残して。

西から攻めたドイツ軍が、少し前までソ連が占領していたカティン近郊で、ソ連軍が埋めたポーランド人将校の何千(何万?)という虐殺された遺体を発見します。

ドイツはこの事件を大々的にとりあげポーランドからソ連を追い出すのに利用しようとしますが、ソ連はこれをドイツ軍の仕業と主張します。当時ポーランド情勢はソ連に傾倒していたため、世論はドイツ首謀説が優勢となります。

(というか、ソ連の仕業とうすうすわかっていても口外できないんですね)

そんなとき、アンジェイの生還を待ち望む妻のアンナの元に、彼はもう帰らぬ人となった知らせが届きます。失意の中、それでも強く生きるアンナの元に夫アンジェイが死の際まで詳細をつづった手帳が届けられます。

そこに書かれていた真実のカティンの森での出来事が、淡々と映像で流れます。

戦慄のラストです。


「灰とダイヤモンド」のアンジェイ・ワイダ監督、執念の一作です。


アンジェイ・ワイダ監督自身も父親をカティンの森事件で失っています。

父を失って以来、来る日も来る日も父の帰還を待ちわびた家族の気持ちが

痛い程伝わってきます。



ラストで機械的に人が殺されて行くシーンは本当にこわかったです。



ホラー映画とかとは全然違う、ありえん怖さです。





3 件のコメント:

justitia さんのコメント...

「チャップリンの殺人狂時代」を観てますか?

チャップリンが演じた連続殺人犯のセリフ。

「ひとりを殺したら犯罪者ですが百万人を殺せば英雄です。」

痛烈な戦争批判です。

殺人行為の躊躇を麻痺させてしまう状況は、本当に恐ろしいですね。

ナルナル89 さんのコメント...

戦地からの帰りを待つ妻子…「岸壁の母」が頭の中を流れていました。待っている人は岸壁の母と同じ気持ちですよね!?

tiotio さんのコメント...

ナルナル89さん

そうですね。本当に辛いですよね。何があっても心から喜べないですよね。なんで?って思いますよね。



justitiaさん

インタビューにアンジェイ・ワイダ監督が「権力によっては真実が語られないことがあることや、ソ連に憎しみを抱くのではなく、このような残虐性は人間が内包しているもので、なぜこのような事件を起こしてしまうのか、人類全体で考えないといけない」というようなことを語ってました。