2本立てで1500円(前売り1300円)
行くしかない。
行ってきました。
目当ては「サラの鍵」でした。
「ゲーテの恋」もかんなり良かった。
今回は、「サラの鍵」を紹介させていただきます。
この映画の中では、フランスが行っていたユダヤ人に対する迫害が取りあげられています。
主人公であるジャーナリストのジュリア(クリスティン・スコット・トーマス)が「ヴェルディヴ」について口にすると、若いジャーナリストたちは「それ何?」と返します。
フランスでも若い世代の人達にはあまり知られていないようです。
ヴェルディヴとはパリにかつて存在した、大戦中にユダヤ人虐殺の舞台となった室内競技場で、ヴェルディヴに関する資料は今は殆ど残っていないのです。ヴェルディヴの建物自体も取り壊されて今は別の省庁の建造物がたっています。
若いジャーナリストは「ナチスは戦争中のことは詳細に記録して残してあるのにヴェルディヴに関する資料がないとはめずらしいですね」と問いかけます。
「ナチスが行った虐殺ではなく、フランスが行った事だから。」
1995年にシラク大統領はそのことを公のスピーチの中で認める発言をしたそうです。あまり知られていなかった事実なだけに、フランス国民の間でも衝撃が走ったそうです。
*ストーリー*
1942年7月。
10歳のサラは、幼い弟ミシェルと両親と共にパリのアパートで暮らしています。
ある日パリ警察が家族を検挙しにやってきます。サラはとっさに弟を逃そうと機転をきかせて壁の裏の隠し納戸に弟を隠れさせ鍵をかけて「出てはダメよ。すぐ帰るから。」と言い聞かせて両親と共に部屋を後にします。
サラは何とか鍵を誰かに託し、弟を納戸から助け出したいけれど、中々納戸の鍵を信頼できる人に預けられません。
2009年。
ジュリアはニューヨーク出身パリ在住のジャーナリスト。
ヴェルディヴ事件について特集記事を担当することになったある日、優しい夫と12歳の愛娘と近く引っ越すアパートを見に行きます。
そのアパートは夫の祖父母が住んでいた歴史あるアパートです。夫の祖母のお見舞いに行ったとき、アパートを購入したのが1942年8月である事を知り、その地域が旧ユダヤ人街であったことから、ヴェルディヴ事件で検挙された家族の持ち物だったのではと気になりだします。
仕事の取材先から、アパートに住んでいた家族の内、サラとミシェルという兄弟は収容所で亡くなっていないことが分かり、まだ生きているかもと、サラとミシェルを捜し始めます。
ジュリアがアパートについて色々調べている事を知った義父はジュリアに今まで家族に隠していたサラとの出会いを明かします。
1942年7月。
サラ達が連れて行かれたのはヴェルディヴ室内競技場。そこに1万人以上のユダヤ人が閉じ込められます。
数日が経ち、衛生的にも精神的にも皆参ってきたころ、サラ達親子は大勢のユダヤ人達と共にトラックで別の収容所に移送され、そこで両親と離ればなれにされてしまいます。
それでもサラが自分の事以上に心配でならないのは、彼女がドアを開けるのをずっと待ってるに違いない弟ミシェルの事。
以下ネタバレご注意ください。
サラは仲良くなった女の子と一緒に脱走を図ります。偶然心ある大人達に救われて奇跡的にもアパートに辿り着きます。
既にアパートの部屋には新しい住人が住んでいました。一心不乱にベルを鳴らし、ドアを開けた少年を押しのけて納戸へ走ります。家具を除け、鍵を開け、隠し納戸の扉を開けたサラは、その光景に絶叫します。
このときサラが押しのけた少年が、ジュリアの義父なんですね。
この後、サラはどこに行ったのか。ジュリアは捜し続けます。
実はジュリアは待望の妊娠をしていました。そのことを夫に告げると、ジュリアの意に反して夫はよろこんではくれませんでした。
悩みに悩んで中絶するために行った病院にサラの関係者から電話がかかってきます。
すぐにでもサラの情報を得たいジュリアは結局手術は受けずに病院を飛び出します。
わずかな手がかりを元にアメリカへ行きますが、サラは既に交通事故で1966年に他界していたことが分かります。けれども彼女の一人息子ウィリアムがイタリアにいると知り会いに行きます。
50歳になるウィリアムは、ジュリアの口から飛び出すサラに関する話が初めて聞く事ばかりで全く信じられません。結局二度と合いたくないと機嫌を損ねてしまっただけでした。
2011年。
離婚し、アメリカで14歳と1歳の娘と暮らすジュリアの元に、ウィリアムが会いにやってきます。
アメリカで入院していたサラの夫、ウィリアムの父が亡くなる前に全てをウィリアムに明かしてサラの日記を託したのです。それらをこの年になって初めて目にしたウィリアムが、今度はサラの人生を共有するためにジュリアに会いにやってきたのでした。
ジュリアが1歳の娘をサラと名付けた事を知り、ウィリアムが涙のあふれるのを止められないラストシーンは、こっちももらい泣きしちゃいます。